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曽木もみじの絵本プロジェクト

2017/11/09

曽木公園のもみじライトアップをご存知ですか。そのイベントに対する地域の人たちの想いと歴史を市内外の人たちに広く知ってもらおうと絵本と紙芝居をつくるプロジェクトに取り組んでいる人たちがいます。今回はそのメンバーにお話をお伺いしました。

(左から)熊崎さん(土岐市役所)、各務さん、岡島さん、田口さん、神戸さん

―どういったきっかけで絵本をつくることになったのですか。

神戸さん

もともとはライトアップイベントでのボランティアの人手不足という課題に対し、なんとか人が関わってくれる方法がないかとかんがえるところから始まりました。ボランティアに参加してもらうにあたって、このイベントの良さを知ってもらうことからやってみるのはどうかなぁと。そこで、誰もがわかり、内容も伝わりやすい「絵本」という形をとることになりました。ボランティアの人数を増やしたいという思いもありますが、次の世代にこのイベントをつないでいきたい、という思いもあります。

 

各務さん

イベントに関わってきた先輩方の話を聞いていくうちに、これまでの奮闘記が面白くなってきてしまって(笑)この話をこれからの時代に向けて残したいと思ったのが活動の原点です。

 

―絵本をつくったあとの展開について考えていることはありますか。

熊崎さん

市役所や児童館、小学校といった市の施設で置かせてもらいたいと思っています。そしてゆくゆくは、もみじのライトアップに来てもらった人たちに手に取って見てもらえるといいなと思っています。

このイベントにかけている想いやきっかけを知ってもらうことは、イベントを継続していく上でも大切なことだと思っています。また、ボランティアに参加してもらうときも、そこまで知った上で参加してもらったほうが、満足度も高くなると思っています。

 

岡島さん

話し合いを進めていく中で、絵本をつくるときの柱になるものがあったほうがいいんじゃないかという意見が出ました。その中で、誰かから「もみじ自身がどう感じていたかを1つのストーリーにしたらいいんじゃないか」という意見が出ました。その方が子どもたちにも親しみやすく感じてもらえるなと。

 

熊崎さん

各務さんもその時は紅葉のライトアップを見たことがなかったのですが、紅葉のライトアップを見たことがない中で、話を聞いて、絵本のストーリーを考えてくれたんです。

 

―(ラフを見ながら)この絵は各務さんが描かれたんですか。

各務さん

そうです。ストーリーは、これでいいのかな、間違ってないかな、など意見を交わしながらみんなで考えています。

 

岡島さん

最初は、これまでの歴史を物語にするという形で絵本をつくっていくのかなと思っていましたが、実際にできてみると、もみじが主人公の話には想像以上のストーリーがありました。絵本の中に、「なぜだかちょっぴり寂しかった、みんなは池を覗き込むばかり。逆さの木を見るばかり。本当の僕はここにいるのに。」という部分があります。悲しいことに、現代では社会から無視されたり、孤独で命を絶ってしまう人たちがいます。同じように、初めは誰ももみじのことを見ていなかったんです。気に留めていなかった。でもある時、地域の人たちと目線が合い、そこで自分は社会の1人として認められたんだという気持ちになる、そういうストーリーになっています。なので、単なる絵本をつくっているというだけでなく、孤独な思いを抱えている子どもたちの心にも届くような作品になってほしいと願っています。

結果的にとてもいい作品になりました。最初は、単なる曽木公園の物語をつくっても意味ないよ、と言おうと思ってたんですけどね(笑)

 

田口さん

私も、初めは取り組みを見守るような立場でいたのですが、いつの間にかこうしてしっかりと関わるようになりました(笑)もみじライトアップの実行委員でもあるのですが、今回の取り組みを通じて初めて知ることも多くありました。

 

 

―絵本ができるのが楽しみですね。

岡島さん

そうですね。ただ、楽しみという気持ち以上に、どういう人が読んでくれるのだろうということが気になっています。世の中を寂しく思ってる人たちが見てくれたらきっとこの絵本が少しは役に立ってくれるんじゃないかなと期待しています。楽しみというよりも期待の気持ちの方が強いですね。

 

―神戸さんは大学生ですよね。この活動にはどういう形で関わっているのですか。

神戸さん

僕は、ラボでの最初の話し合いから参加させてもらっています。そのときは話し合いの内容をまとめたり、テーブルの代表として話し合ったことを発表したりしていました。ライトアップに関わってきた人たちから、20年間活動を続けていることを聞き、その想いや取り組みを残していくことができるのなら、それのお手伝いをしたいなと思いました。なので今でもこうして活動に参加させていただいています。

土岐市にはまちのことが好きな人がいっぱいいて、何とかこれからもまちを発展させていきたいと思っている人がたくさんいます。しかしそういった方のほとんどが高齢になり、後継者がいなくて困っていることを知りました。そんな人たちのお手伝いをしてるうちに感じたのですが、僕はその熱量がとても好きなようです。

最近実は、自分の同世代の中にも、このまちのために何かやりたいと少し火がついてきたのを感じます。来年ぐらいから、何か活動ができたらいいなと思っています。

 

田口さん

ちゃんと大学は卒業できるようにね(笑)

 

各務さん

私も土岐市のことが好きです。人柄が好きです。それに、しっかり自然や土と暮らしている感じがします。ただ、いいものがたくさんあるのに、気づいていない人も多くいます。それがもったいないなと感じることもあります。

 

―絵本づくりのプロジェクトですが、今後の理想はありますか。

田口さん

そうですね。小学校や保育園に置いてもらい、児童や園児みんなで読んでくれて、もみじのことを知って育ってくれたら嬉しいです。

 

岡島さん

この絵本が、悩んでいる子どもたちの力になってくれることが理想です。何冊売れたかということよりも、誰かのために役立ってくれることの方が嬉しいです。

 

神戸さん

まだ曽木のもみじを見たことない子どもたちにも読んでもらいたいです。何年後かに初めて曽木のもみじを見た時に、あの絵本はこのことについて描かれていたんだ、とつながる瞬間があれば。それがすごく楽しみなんです。この活動が次の世代につなぐ役割を担うことができたら嬉しいです。

 

熊崎さん

この絵本をつくることで、これまでつくりあげてきてくださった方々への感謝を伝えたいです。また、地域の人たちの頑張りをより多くの方々に知ってもらいたいという思いもあります。

活動をはじめて20年ということは、当時生まれた子も、もう成人になっているんです。近い将来その子が自分の子どもを連れてもみじのライトアップを見に来ることがあるかもしれません。もみじや山は変わらずそこにあり、成長を見守り続けてくれます。この絵本は、「聞かせる」ものではなく、ずっと「伝わっていく」ものになっていってもらいたいです。多くの人たちの心に残る1冊になるといいと思います。