アイウエオ
カキクケコ

(仮)美濃焼体験プロジェクト

2019/02/05

土岐市の南部に位置する鶴里町には、自然を使って遊びをつくる達人がたくさんいます。そんな自然を使って遊びをつくっているメンバーにインタビューしました。


(左から)川口さん(土岐市役所)、木股さん、白頭さん、田中さん

―土岐市は美濃焼の産地ですが、美濃焼への思いや感じていることを聞かせてください。

田中さん

私は岐阜県ではなく京都府出身なのですが、土岐市に引っ越してきて、土岐市に住むみなさんにとってお茶碗などの器の価値が京都とは違うことに気づきました。それはなぜかと言ったら、「食器はもらうもの」という意識が強いからだったんです。私はそれまでそんな言葉を聞いたことがありませんでしたし、食器は買うものだと思っていました。それが土岐市に来て、美濃焼をつくる過程でB品というものができることを知りました。美濃焼は産業として確立しているため、B品も多く出るんです。そのため、B 品をもらうのが当たり前という環境になっているようです。私たち生産者からすれば、土岐市に住む方にも「気に入った」と選んで買ってもらいたいです。そしてできれば私たちの仕事にも興味を持ってもらいたいです。ただ、多くの家庭でもうすでに器が飽和状態になっている、という話も聞きます。
そこで、家にある器を整理して、好みのものを残し、気に入ったものを新しくひとつでも増やしてもらえたら、と考えていたところに今回のラボの話をいただきました。
私が所属している「美濃焼おかみ塾」のメンバーも、ほとんどが同じような思いを抱えていました。メンバーとも「なんとかしたいよね」 とよく話していたんです。食事は毎日のことですから、できるだけ自分が気に入った食器を使ってもらいたいです。気に入った器で毎日を楽しんでもらえたら、と願っています。

白頭さん

隣の多治見市も似た状況です。窯元さんに知り合いがいたりつながりがあると、例えば陶器市などで売れ残ったものを頂くことも多いのではと思います。

 

―陶器でアクセサリーをつくりはじめたきっかけもそのあたりにありますか。

田中さん

はい、そうなんです。ここ土岐市では器を気軽にもらえてしまうので、「買うこと」に対するハードルが高いんです。ですが、美濃焼は土岐市の大事な地場産業なので、土岐市に住む人たちにこそもっともっと美濃焼の魅力を知ってもらい、楽しんでもらいたい。そう思い、食器以外に何かつくれないだろうかと考え、チャレンジするようになりました。

最初は、箸置きだったんです。子どもが喜びそうなかわいい動物などの箸置きをつくりました。そうしているうちに細かい作品を作ることに慣れていったんです。
少し話は変わりますが、陶器市などにいらっしゃるお客様を見ていると、男性よりも女性の方が多いことに気がつきました。そこで、陶器市で食器が数多く並んでいる中、女性客に足を止めてもらえるアイデアはないだろうかと模索しました。その結果、アクセサリーはどうだろう、という考えが出てきました。

白頭さん

肌に身に着けることもあるものですので、土という身近な素材に対する安心感もあると思います。また、陶磁器のアクセサリーを持っているのは珍しく話題になるようです。

田中さん

お友達から「それなに?」と聞かれたら、「実はね、陶器なの」って誇らしく言ってあげてください(笑)それくらい、人と違うものを身につけるということは魅力になると思います。
ただ、作業が細かいため量産ができないんです。ピンセットでパーツを摘んで釉薬を塗ったり、釉薬がついてほしくない部分には撥水剤をあらかじめ塗るんです。手にも撥水剤をつけながらつくっています。一つひとつ手づくりになるので量産はできないですね。

白頭さん

私自身、土と関わる仕事をしているので、人と違うものを身につけたいですし、美濃焼のPRもしたいと考えるとこの陶器のアクセサリーはすごく魅力的に感じています。また、釉薬のかかり具合も素敵ですし、一点ものという魅力もあります。

 

ーこの陶器のアクセサリーづくりを通して、達成したい願いはありますか。

田中さん

この地域に来てくださっている市外・県外の企業の方たちに、例えば、部署ごとに統一のピースをネームプレートのワンポイントなどに使って頂くなど、美濃地方・土岐市への貢献という面で協力してもらいたい、という夢はあります。

白頭さん

そうした企業の方たちに簡単に器をプレゼントしてしまうのではなく、普段から身につけていただき、単純に土岐市に働きに来ている、という意識ではなく、もっと土岐市に愛着を持っていただけたら嬉しいです。できれば自分たちの手でつくってもらいたい。最初から形をつくっていくのがよいか、パーツを組み上げていくのかよいかはまだ分かりませんが、それぞれが自分でつくったものを身につける、というところから土岐市との関係をつくっていきたいです。

田中さん

土岐市の方たちに、器にこだわらず、「美濃焼」を楽しんでもらいたいです。「あ、こんなの今までなかったな。ほしいな」から始まり、もう一度「美濃焼」が土岐市に広がってほしいと思います。そうなればその次に、「今度はお茶碗が欲しい」といった声が出てくるのではないでしょうか。

白頭さん

入口はアクセサリーですが、そこから「私は○○窯のファン」と感じてもらいたい。「一人一窯」という感覚で、住む人それぞれの「ファン窯」を見つけてもらいたいです。個人の作家さんのファンになるように、窯にもファンがつくようになればいいなと思うんです。

 

ー最後に、土岐市で活動をする上での嬉しさや喜びがあれば教えてください。

田中さん

私は結婚してこのまちに来ました。それまでは普通の会社員でした。自分がものづくりをするということ、そして私がつくった物が人に喜ばれるという経験をするなんて想像していませんでした。それも、多くの人が喜んでくれるという経験です。京都にいたままなら絶対に想像できませんでした。これはとても嬉しいことだと感じています。

白頭さん

焼きものでいえば、土岐市は首都のようなものだと思うんです。メーカー、大小の窯、釉薬屋もあるし、土もあるし、道具もある。焼きものに必要なすべてがここに集まっているんです。そんな土地にいるということは、改めて考えてみてもすごいことだなと感じます。